LINE株式会社は2013年11月25日、無料通話・スタンプメールなどが楽しめるアプリ「LINE(ライン)」の登録者数が3億人に達したと発表した。2011年6月21日にサービスを開始して以来、2年5カ月で達成したことになる。1億人突破までの期間も19カ月と、Facebookの54カ月、twitterの49カ月に比べて非常に短い。中東や南アメリカ、スペインなどでユーザーが急増するなど、世界的なプラットフォームに育ちつつある。同社は2014年中に5億人を目指すとしている。

LINEは韓国NHNの日本法人、NHN Japan(現:LINE)が開発したアプリ。LINE会長でNHN取締役会議長の李海珍氏が、家族や親戚と連絡を取ろうとする東日本大震災の被災者の映像を見て発案したとされる。開発は韓国本社ではなく日本で行われ、韓国・日本・米国・中国など、多国籍チームが編成された。公式スタンプが使用され、アプリの顔とも言える「ブラウン」「コニー」などのキャラクターも、NHN社員のカン氏が手がけている。

LINEは端末にインストールしておけば、通信キャリアや端末を問わず、無料でインターネット電話やチャットなどが行える。多彩なスタンプが用意されており、有料でも販売されている点が特徴だ。2012年7月3日にプラットフォーム化し、サードパーティによるアプリやゲームの配信も開始した。売上の約半分がゲームアプリ、約3割がスタンプの課金と言われており、ゲームプラットフォームとしての存在感も高まっている。

インスタントメッセンジャーは、代名詞とも言えるスカイプを筆頭に、これまでにも様々なアプリが存在した。しかしLINEの成功の秘訣は、内蔵の電話帳を読み込んでフレンド登録の手間を省くなど、スマートフォンでの使用に特化して、使い勝手を追求したことだ。スマートフォンの大きな液晶画面も、スタンプのやりとりに向いている。スタンプを販売するというビジネスモデルも画期的だった。LINEはフィーチャーフォンやPCでも使用できるが、実際はスマートフォン世代のサービスと言ってよいだろう。

NHNは韓国でPC向けゲームポータルサイト「ハンゲーム」を運営しており、国内でも2000年にハンゲームジャパン(現NHN PlayArt)が運営を開始し、カジュアルゲームの草分け的存在となった。しかし、フィーチャーフォンのゲーム市場に乗り遅れ、その間グリー・モバゲーのソーシャルゲームが急成長した。そして、他社がスマートフォンへの対応をすませる間に、タイミングよくLINEが滑り込んだ形だ。インスタントメッセンジャーだったはずのLINEでゲームやアプリが配信され始めると、業界関係者が色めき立った。

このPCからフィーチャーフォン、そしてスマートフォンへの変化を促したのが、急速な半導体の進化と通信インフラの整備だ。すなわち、技術革新が新しいデバイスを生み、新しいビジネスモデルを生み出し、新しいサービスやコンテンツを生み出した。つまり、今後の技術革新によって、さらに新しいサービスが登場し、一気に市場が変化する可能性が高い。ポイントは技術の潮目を見抜く力と実行力にあると、LINEの躍進は教えている。

LINE株式会社のプレスリリース

http://linecorp.com/press/2013/1125636