ポリゴンマジックグループは創業20周年を記念して、自社イベント「20th Anniversary ポリマジ大学 オープンキャンパス〜ポリゴンマジック的存続論〜」を2017年2月10日に都内で開催した。講演では同社の社員に混じって、映画監督の押井守氏がゲスト登壇。交流スペースではカジノの試遊台も登場した。終了後は懇親会も行われ、約300名近いゲーム開発者が交流を楽しんだ。企業の記念行事で一般公開が行われるのは極めて異例。
ポリゴンマジックグループ代表の鶴谷武親氏は冒頭、「本グループでは人材教育に力を入れており、『ポリマジ大学』と称して社内勉強会を定期的に開催している」と紹介。実行委員会で記念行事について検討したところ、「ポリマジ大学」を一般公開するアイディアが浮上したと説明した。そのうえで「勉強だけでなく、ポリマジらしくカジノ体験などのエンターテインメント要素も盛り込んだので、一日楽しんでほしい」と挨拶した。
続いて鶴谷氏は「ポリゴンマジック的存続論〜『勝つ』より『生き残り』〜」と題して冒頭講演を行った。鶴谷氏は馬車から自動車への変化や、旧帝大から早稲田・慶応大学へのブランド委譲などを例に挙げつつ、技術進化に伴い社会が急速に変化している現状を分析。企業も社会への対応速度が求められると指摘した。その上でグループ存続のために「多様性」「遊びとアソビ」「所有感(損得勘定の合致)」の担保を重視していると説明した。
特別ゲストとして登壇した押井氏は「挑戦と開発の違いについて」と題して講演した。押井氏は冒頭で「挑戦とは結果を求める行為であり、開発とは過程を重視する姿勢のことである」と定義。人はしばしば短期的な勝ち負けを求めて「挑戦」をしたがるが、それは丁半博打のように愚かな行為であり、あらゆる仕事は斬進的な繰り返しの中で品質を高めていく「開発」でなければならないと解説した。
交流スペースではブラックジャック、ルーレット、BIG&SMALLの試遊台が登場し、プロディーラーの解説つきでゲームが行われた。ふだんデジタルゲームを開発していても、こうしたカジノ体験は初めてという参加者が多く、各々のテーブルで歓声が上がっていた。またLINEスタンプで同社が展開中の「女の子が静かに罵倒」コーナーでは、美少女コスプレイヤーから参加者が実際に罵倒されるという、ユニークな企画が実施された。
このほか同社社員から「億越え5年以上を可能にしたソーシャルゲームの設計と運営」「スクラムから学ぶ遊技機開発の効率化」「Microsoft ProjectとRedmineを繋げてみた」「遊技機液晶の開発効率をアップさせる動画ビューワ」「VRにおける金爆などの人気アーティストとのコラボ事例」「所謂2.5次元舞台事業展開のヒミツ〜戦国無双から最新作まで〜」の技術講演が行われた。遊技機開発や舞台プロデュースなど、他のゲーム系カンファレンスでは聞けないユニークな内容の講演が多く、グループの多様性を感じさせた。