2012年6月30日と7月1日に、東海大学札幌キャンパスにて日本アニメーション学会の第14回全国大会が行われる。日本アニメーション学会は毎年6月下旬に全国大会を催しており、ここ数年は関西圏での開催が続いていたが、今回、初の北海道での開催となる。

学会1日目の講演とシンポジウムの総合テーマは、札幌での開催にふさわしく、「地方発のアニメーション表現・産業は可能か?」というもの。アニメーション産業を担う企業・組織・消費の場の多くが東京およびその近郊に集中する現状において、中央集権的なその構造に地方発で一石を投じることができるか、その可能性を探る。徳島での活動を続けるアニメーション監督の野中卓也氏(ufotable所属)、実験映像やアニメーションを手掛ける札幌出身プロデューサーの水由章氏(ミストラルジャパン代表)が講演を行い、また、シンポジウムでは、札幌におけるアニメーション産業成立の可能性、個人・小規模制作のあり方が議論される。

2日目には、同会場で17の研究発表が行われる予定である。今回の札幌での学会開催には、道内のアニメーション教育関係者たちが2011年に結成した「北海道アニメーション教育協議会」が大きく関わっている。同協議会は、今年(2012年)、インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル(通称ICAF)や若手アニメーター育成プロジェクト「アニメミライ」の上映会の開催に尽力するなど、北海道でのアニメーション事情の活性化のための活動を始めている。今回の学会の例も含め、ひとつの教育機関という枠を越えた協力体制によって、教育・産業・芸術表現をも包括した、地方におけるアニメーションのあり方にどのような貢献がなしうるのか、今後が注目される。

日本アニメーション学会

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