2012年10月12日、ブジェチスラフ・ポヤル監督が死去した。89歳だった。

ポヤル監督は、1951年に『魔法の森のお菓子の家』で監督デビューを果たして以来、立体アニメーションを中心とした作品の継続的な発表とその質の高さで、故イジー・トゥルンカ監督らと並び、チェコのアニメーション界を代表する存在となった。代表的な作品としては、『飲み過ぎた一杯』(1953)などが挙げられる。国内外でその作品の評価は高く、1959年の『ライオンと歌』は、世界初のアニメーション専門映画祭として1960年に始まったアヌシー国際アニメーション映画祭にて第1回のグランプリを獲得した。また、1965年からのテレビシリーズ『ぼくらと遊ぼう!』もチェコで国民的な人気を博すものとなった。

その活動は国際的なもので、1960年代からは、カナダ国立映画制作庁(通称NFB)での制作も行った。NFBでは、1972年の『バラブロック』や1986年の『ナイトエンジェル』(ピンスクリーン技法で有名なジャック・ドゥルーアン氏との共同監督)など、著名な作品を残している。

ポヤル監督は晩年に至るまで制作から退くことはなかった。2009年の『Psí historie(犬の物語)』は地元チェコの映画祭アニフェストにて「15分から60分の作品部門」の最優秀作品賞を受賞している。2011年公開の長編映画『Autopohádky』では、4つのアニメーションによるエピソードのうち1つを担当した。

旧社会主義圏では、資本主義体制になった後、国営スタジオの消滅によって作られる作品の傾向が変化したことなどにより、歴史の断絶が起こっている。かつてのアニメーション大国チェコもまた、近年の映画祭での露出の極端な低下などからも分かるように、その最たる例といえるわけだが、チェコ・アニメーションの黄金期を生き抜いたポヤル監督の死去は、チェコ・アニメーションの歴史において1つの時代が終わったことを象徴するものとなりそうだ。

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