学生が手作りのバーチャルリアリティ作品で競う「国際学生対抗バーチャルリアリティコンテンスト」(IVRC)の決勝大会が2012年10月25日から27日まで、日本科学未来館(東京都江東区)で開催された。第20回目を迎える今年は、鳥が腕につかまる感覚を再現した「この腕とまれ!」(慶應義塾大学/チーム名「かるくハルク」)が総合優勝を獲得。副賞として、毎年夏に北米で開催される、世界最大のコンピューターグラフィックスとバーチャルリアリティの国際学会「シーグラフ」への投稿サポートと渡航補助金が贈呈された。
IVRCは日本バーチャルリアリティ学会が主催する、バーチャルリアリティやロボットなどの先端技術を用いた、インタラクティブな作品のコンテスト。1993年から開催され、学生ならではのユニークな発想の作品が数多く出展されている。ゲーム業界においてもモーションコントロールや拡張現実技術をはじめ、近年バーチャルリアリティ関連技術が採用される例が増加しており、IVRC卒業生がゲーム業界に進む例も見られる。
総合優勝をはたした「この腕とまれ!」は、箱型デバイスに腕を入れると、二の腕に鷹やオウムといった大型の鳥がつかまり、動き回るような感覚が体験できる作品。箱の中ではコンピューター制御のモーターで動作するプラスチックの「鳥の足」が設置されており、二の腕を掴む仕組みだ。腕を上下に動かすと、足の動きが変わるなど、鳥とのインタラクションも体験できる。 鳥の姿を体験者に見せないことで、実際に鳥が箱の中にいるかのようなイメージを膨らませることに成功している。
IVRCはフランスで開催されるバーチャルリアリティの総合イベント「ラバルバーチャル」と提携を結び、2003年から学生コンテスト優秀作品の招待参加を実施している。また2010年からは米国カーネギーメロン大学エンターテインメント・テクノロジー・センターと国際協定を結び、選抜プロジェクトの招待も開催。日仏米学生の国際交流も推進中だ。「この腕とまれ!」も今回、総合優勝に加えてラバルバーチャル賞を受賞。来年度の招待作品として渡仏が決定した。学生作品が海を越え、北米・欧州でどのような反響を見せるか、期待される。
国際学生バーチャルリアリティコンテスト
http://ivrc.net/