ゲームやゲーム開発の技術を広告・教育・医療・公共政策などに活用する「シリアスゲーム」についての議論が世界各地で進行中だ。2013年8月19日から22日まで、アメリカ・シアトルのデジペン工科大学で「シリアスプレイカンファレンス」、2013年8月26日から28日までシンガポールのシンガポールマネジメント大学で「シリアスゲーム&ソーシャルコネクト」という国際会議が相次いで開催され、様々な角度から議論が行われる。
シリアスゲームは一般に「教育をはじめとする社会の諸領域の問題解決のために利用されるデジタルゲーム」と定義され、2002年に米シリアスゲーム・イニシアチブが発足したのを契機に注目を集めはじめた。欧州でもオランダやフランスでシリアスゲームの産業化が進んでいる。韓国でも学校教育でオンラインゲーム教材を導入する「G-ラーニング」が2009年より進行するなど、世界規模でゲームの社会的進出が進んでいる。
これに対して日本ではニンテンドーDSで「脳トレ」ブームが巻き起こるなど、市場化が先行したが、ブームの沈静化と共に市場も縮小。一方で大学や研究機関での研究が進むなど、シリアスゲームを巡る動きが新しいステージに入ってきた。
シリアスプレイカンファレンスは「教育」「公共政策・軍事」「医療・健康」「企業向け人材教育」「消費者啓蒙」の5分野を中心に議論が行われる。シリアスゲーム&ソーシャルコネクトでは米シリアスゲーム協会とシンガポールのアジア地域でも進行中の少子高齢化を背景に、「教育」「医療」を中心に議論が行われ、日本からも九州大学シリアスゲームプロジェクトが開発し、2012年から医療機関向けに販売が始まった高齢者向け起立行動支援ゲーム「リハビリウム起立くん」に関する講演が予定されている。
NPO法人IGDA日本では2013年9月上旬にオンラインセミナーを実施し、両カンファレンスの参加報告会をストリーミング番組で実施する。番組はウェブ上で録画され、任意に視聴できる予定だ。
シリアスプレイカンファレンス
http://www.seriousplayconference.com/
シリアスゲーム&ソーシャルコネクト