2013年12月24日、アニメーション作家のフレデリック・バック氏がカナダ・モントリオールの自宅で死去した。享年89歳。
1924年、当時フランス領だったドイツのザールブリュッケン郊外で生まれたバック氏は、1948年にカナダ・モントリオールに移住。1952年以降、国営放送局であるカナダ放送協会(CBC)で美術の仕事を手がけるようになる。その後、1968年、同局にアニメーション・スタジオが設立されたのをきっかけに、子ども向けのアニメーション作品の制作に着手。セル上に色鉛筆やパステルなどの画材を用いて描画する独特の技法を用い、圧倒的な画力に支えられた氏のアニメーション作品は、国際的に高い評価を受けた。1981年の『クラック!』、1987年の『木を植えた男』の二作は米アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞、『木を植えた男』と『大いなる河の流れ』(1994年)はアヌシー国際アニメーション映画祭や広島国際アニメーションフェスティバルでグランプリを受賞するなど、バック氏はアニメーションの世界で世界的巨匠として認知されるようになる。
日本でもバック氏の作品の人気は高く、スタジオジブリの高畑勲氏や宮崎駿氏との親交によってさらに広がった。2011年には、氏の活動を包括的に紹介する大規模な「フレデリック・バック展」が東京都現代美術館を皮切りに国内巡回し、それにあわせた回顧上映もスタジオジブリと三鷹の森ジブリ美術館の共同配給で行われた。
バック氏の作品に一貫するテーマは、行き過ぎた自然破壊と人間中心主義に対する警鐘と、豊かな自然の回復への希求であり、『木を植えた男』はカナダに植樹ブームを巻き起こすなどした。『大いなる河の流れ』以降、アニメーション作家としての目立った動きはなかったが、自然保護の活動家として、積極的な活動を行っていた。
バック氏の経歴と生涯については、公式ホームページに掲載されている自叙伝に詳しい。
フレデリック・バック 公式ホームページ