2014年1月19日、アニメーション作家・研究者のマイケル・スポーン氏が逝去した。享年67歳。スポーン氏はHBOやPBSをはじめとしたアメリカのテレビ局に対する子供向けのアニメーション作品の制作で知られていた。ここ最近、公式サイトのブログ”Splog”では、本人のエントリーによりガンとの闘病の様子が綴られていたが、1月20日、妻のハイジ・スターリング氏の投稿によって死去のニュースが伝えられた。
スポーン氏はニューヨーク工科大学で美術を学んだ後、海軍に従軍。その後、当時、アメリカのインディペンデント・シーンを代表する作家であったジョン・ハブリー氏のもとで働き、また、ロンドンでもリチャード・ウィリアム氏に師事したのち、ニューヨークにて自らのスタジオ「マイケル・スポーン・アニメーション」を設立し、主にテレビ向けの制作を行った。有名な子供向け絵本などを原作に、リミテッドな動きを採用した手描きのアニメーションは、1984年のDoctor DeSohoで初のアカデミー賞ノミネート(短編アニメーション部門)を果たすなど、高く評価を受けた。近年も、The Man Who Walked Between Towers(2005年)がオタワ国際アニメーション映画祭で最優秀子供向け短編作品賞などを受賞し、2007年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)にて回顧上映プログラムも組まれた。
精力的な制作を続ける一方、スポーン氏はアニメーションの歴史研究家としても活発な活動を行った。2005年より継続的に続けられていた氏のブログ”Splog”は、アメリカに限らず世界中の様々なアニメーション作家について考察したエントリーのほか、北米におけるアニメーション関連イベントの報告や当事者(参加者)として入手していた様々な歴史的資料の共有などもあり(たとえば、1967年のモントリオール万博の関連イベント時に作られた北米商業アニメーション史チャートなどは公開時インターネット上で大きな話題となった)、非常に人気が高く、アニメーション研究者にとっては参照が必須のものとなっていた。
「マイケル・スポーン・アニメーション」公式ホームページ