スロベニアの首都リュブリャーナにて、2011年12月5日から11日まで第8回アニマテカ国際アニメーション映画祭(Animateka International Animated Film Festival、以下「アニマテカ」)が開催される。アニマテカは1998年より現地のスロベニアン・シネマテーク(Slovenian Cinematheque)でおこなわれていた同名の月例アニメーション上映企画「アニマテカ」から発展して2004年に始まった映画祭である。会場となるのはインディペンデント系作品を上映する映画館キノドヴォールとスロベニアン・シネマテークの上映ホールで、前者の会場ではコンペティション上映を中心に現代の作品が、後者では歴史的な視野でセレクトされたプログラム上映がおこなわれる。
アヌシー(フランス)やザグレブ(クロアチア)、オタワ(カナダ)、広島といった主要なアニメーション映画祭は、アニメーションの歴史と伝統が世界的に見て豊かな場所で開催されている。そういった国と比べるとマイナーなスロベニアにて開催されるこの映画祭は、世界の優れたアニメーション作品を同時代的・歴史的両面において紹介することで現地のアニメーション制作・産業の育成を促すとともに、世界中から訪れる映画祭の来場者に現地制作のアニメーションをアピールするという目的がある。そのため一般コンペティションは中欧・東欧といった近隣の地域に限定され、その他の地域の作品は映画祭側の選定によって紹介されることになる。
シネマテーク会場での上映は、毎年テーマを決めた超域・超時代的な回顧上映と国ごとの歴史にフォーカスを当てたプログラムのふたつで組まれる。今年は「アニメーション、サウンド、ミュージック」というテーマで音楽と映像との関係性に焦点を当てる特集と、スペインのアニメーション史を振り返る上映がある。
スロベニアのアニメーションの歴史は1952年より始まり、人形アニメーションを中心に制作されてきた。映画祭の会場となるスロベニアン・シネマテークは、スロベニアのアニメーション作品を、スロベニア国立アーカイブ(The Archive of the Republic of Slovenia)の映画部門とともに35mmおよび16mmにて収集・保存している。
アニマテカは今年度より、メイン会場のリュブリャーナに加え、2012年の欧州文化首都のひとつとなるマリボルに巡回するなど(12月10日から18日)、規模を広げる予定である。