2011年12月7日から9日まで、スイス・ルツェルンの映画館スタットキノにて、ルツェルン・インターナショナル・アニメーション・アカデミー(Lucerne International Animation Academy、以下LIAA)の第2回が開催されている。
LIAAは2009年に作家・キュレーターのオットー・アルダー氏が立ち上げた国際シンポジウムで、短編アニメーションを専門的に取り上げる点においてユニークである。短編への特化は、シンポジウムの主催がルツェルン工科大学(Lucerne University of Applied Sciences and Arts)であることと関係する。近年になって世界中の教育機関でアニメーション制作を教えるようになったが、学生たちの作品は現実的な問題としてほとんどすべてが短編という形式を取らざるをえない。しかし、アニメーションにまつわる既存の研究の多くは、長編やテレビシリーズに偏りがちである。LIAAはそういった現状をふまえ、短編アニメーションについての言説を集積することで、大学におけるアニメーション教育のメソッドを確立することをひとつの目的としている。
2009年に開かれた第1回目のシンポジウムでは、「アニメーションとストーリーテリング」というテーマのもと、美学的な側面に焦点が当てられた。ユーリー・ノルシュテイン氏(ロシア)やプリート・パルン氏(エストニア)、デイヴィッド・オライリー氏(アイルランド)といった世界的に有名な新旧の作家からスザンヌ・ブッチャン氏(ユニバーシティ・フォー・クリエイティブ・アーツ教授)などの著名な研究者まで、さまざまな国から集まった発表者がそれぞれの立場からプレゼンテーションをおこなった。今回はテーマを「商業と芸術のあいだのアニメーション——スイスのアニメーションによる広告と商業映画」とし、スイスを例として、学生たちの卒業後を見据えた実践的な側面へと論点を絞り込んだものとなっている。
なお、LIAAの公式ホームページでは、現在、第1回の講演のビデオ・アーカイブを観ることができる(LIAA-TVの欄)。