概要
平成29年度の連携促進事業「アニメ制作従事者に関する記録の調査及び活用のための準備作業」で特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)が調査を行った原口正宏氏(リスト制作委員会)によるクレジットデータベースは、一定の信頼性と継続性があり、アニメ界全体を見通せるデータベースとしてほぼ唯一の存在である。しかし、その構築と運用は個人的な献身と努力に支えられており、今後の継続性にはさまざまな問題を抱えている。そこで本事業は、アニメのタイトル、スタッフに関する網羅的なデータベース構築を補強し発展させていくための方策の一環として、放映中の地上波TVアニメ番組の網羅的な録画と、クレジット記録の根拠となるデータ抽出を行い、システムにより自動化する試行を中心に研究する。
最終報告会レポート
報告者:特定非営利活動法人 アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC) 大坪英之
リスト制作委員会で実施している①作品を認識、②作品を録画、③録画された作品中のクレジットがある部分にチャプターを設定、④設定された作品を記録媒体に記録、⑤クレジットの画面を撮影⑥クレジット表記の文字起こし、⑦データベースに入力、という7つの工程のうち、①〜⑤において調査・検証を行った。対象は夏・秋期に東京都で視聴可能な地上波デジタル局にて放映されるアニメーションすべてで、夏期は36タイトル、秋期は53タイトル実施した。その結果、対象とした地上波アニメ番組の録画と、録画映像からのクレジット画面のキャプチャリングについて、自動化を実現できた。しかし、リスト制作委員会が認識するアニメ作品には、電子番組表上はアニメ番組として登録されていない、情報番組やバラエティー番組内のミニアニメなども含んでおり、録画対象番組数の相違が判明した。また、自然災害時等により録画不可な状態に陥った際の復旧方法がなく、多拠点での録画体制整備の必要性を痛感した。クレジット情報のメタデータ化も確立されておらず、さらなる省力化・自動化に向け各種技術やサービスとの連携模索が課題となる。
大坪英之(左)、報告の様子(右)
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